2018年7月22日日曜日

初めてのギャラリーツアーQ&A

来週土曜日はギャラリーツアーだ。
参加する人たちに、なにか役に立つものを作りたいとおもった。絵画教室の先生とこれまでギャラリーを巡ったときのことを思い出し、インターネットサイトを調べたりして、Q&Aを作ってみた。
このQ&Aの核心は6番目。これまで単に趣味的に画廊巡りしていたのではない。将来開催する個展に向けての布石として、種蒔きの意識で経験を重ねてきたということが、一般的な「ギャラリーツアー」とは本質的に違っていると思う。
ホントはギャラリーでは我儘に鑑賞したいのだ。気になった作品は近寄ったり離れたりしてしつこい位に研究観察するし、作品に囲まれてボーっと体感することもある。興味がなければサッサと出て行って記帳もしない。
多くの優れた作品に触れることは、美術の体力をじわじわと確実に向上させて、制作活動をより自由にしてくれると思っている。
参加者の人たちも、いろんなギャラリーに足を運んで、いろんな経験を重ねて、そして慣れてくれば独りで行けばいいのだ。

・・・

「初めてのギャラリーツアーQ&A」

Q1. ギャラリーの入場料は?
A1. ギャラリーは一般的に無料で入れます。入退場は自由で、作品を買う義務もありません。ただし、レセプションパーティーなど、料金が必要な場合もあります。

Q2. そもそもギャラリーってどういうところ?
A2. ギャラリー=画廊と考えてもらっていいでしょう。美術館は博物館の一種で美術作品の収集・保存・展示を主目的とするのに対して、ギャラリーは作品を販売しています。
    ギャラリーには、おもに企画画廊と貸画廊の二種類があります。企画画廊はオーナーやスタッフが一定のコンセプトで作品を仕入れたり委託を受けた作品を販売し、作品の売却益や手数料で利益を得ています。貸画廊は作家に一日いくらで展示場所をレンタルし、展示場所の利用料や作品の売買手数料で利益を得ています。
    また、それぞれのギャラリーには、現代美術のほかに、近代美術、古美術といった時代別の、そして絵画、彫刻、写真、工芸といった作品形態別の取り扱いジャンルがあります。

Q3. 美術館に比べて、ギャラリーのいいところは?
A3. 入場料がいらないので、気軽に入ってみることができます。作品が面白くなければすぐに出てもいいのです。作品が販売されているので、アートマーケットの相場を知ることができます。
    さらに、現代作家の最新作を見ることができ、作家本人に会えるかもしれません。個展初日は特に、作家本人が在廊している可能性が高く、作品について質問したり話したりするチャンスですよ。入り口の芳名帳近辺に、作家のポートフォリオ(過去の作品の写真、作家の経歴などをまとめたもの)が置いてあることもあります。展示している作家さんがこれまでどんな作品を作ってきて、いまどんなことを考えて制作されているのか尋ねてみてはどうでしょうか。
    作品を見ていると、ギャラリーのスタッフが作品の解説をしてくれることもありますよ。

Q4. 作品の値段はどこに書いてるの?
A4. キャプションに書いてあります。キャプションとは、作品それぞれの側に貼られている解説ラベルのことで、作品のタイトル、素材、価格などを説明するものです。壁には作品以外を展示したくないとか、展示作品の脇に価格を表示したくない場合には、価格表(プライスリスト)にして入り口や芳名帳の横に置いてあることもあります。価格がどこにも表示されていないけれど、とても気に入って買ってみたいような作品があったら、ギャラリーの人に聞いてみてください。
    なお、キャプションや価格表に丸くて赤いシールが貼ってあったら、その作品は売却済みのしるしです。展示作品でどんな作品が売れているのかわかります。ちなみに青いシールは商談中です。

Q5. 芳名帳には記帳しないといけないの?
A5. 芳名帳には書いても書かなくても自由です。作家やギャラリーは、芳名帳をどれだけの人が訪れたかの目安にするので、記帳するほうが喜ばれるでしょう。気に入った作家やギャラリーであれば、芳名帳に名前とメールアドレスを記帳しておけば、次回の展覧会の案内ハガキやメールが送られてくることもあります。

Q6. ギャラリーに行ったときのそのほかの見どころは?
A6. ギャラリーの鑑賞のしかたにきまりはないと思いますが、「ひとりの美術家」としてギャラリーを見てみましょう。それぞれのギャラリーには特色があります。自分の作品はこのギャラリーの方向性と合っているだろうか?現在の展示の雰囲気、ギャラリーに置いてある過去やこれからの展覧会のハガキを見れば、傾向がわかるでしょう。ギャラリーの人と話ができればギャラリーのことがさらにわかるでしょう。ギャラリーの人とどんなふうに接したらいいのだろう?自分はこのギャラリーで発表したい?自分がこのギャラリーで発表するとすれば、どんな作品をどんな風に展示するだろう?作品の配置や照明はどうする?展覧会にはいくらかかる?出品作品の値段をどう決める?などなど・・・。想像力を働かせましょう!

・・・
★来週の行先
 □ラッズギャラリー http://www.ladsgallery.com/
 □アートコートギャラリー http://www.artcourtgallery.com/

2018年7月16日月曜日

WIP

WIP【略】=work in progress
処理中[進行中]の作業、生産中の未完成品、仕掛品






2018年7月14日土曜日

ギャラリーツアーレポート/20180713/ゲリラ編

はい、突然始まりましたギャラリーツアーレポート(略してG.T.R)。
今回は、ゲリラ編と題しまして、単独のハードな行程でお送りします!

20180713
0720 梅雨明け宣言後、連日の猛暑。いつものようにスーツ着て、首に汗止めの手ぬぐい巻いて、いざ出勤。
0730 会社に行くと思いきや、いきなりギャラリーに到着。ここは「ストリートギャラリー」。JR住吉駅から山側の坂道沿いにある、ショーウィンドーがそのまま展示スペースという、ユニークなギャラリーです。ショーウィンドー脇には芳名帳がぶら下げられていて、台風の時などはまれに吹き飛ばされてたり。要は通勤途中にあるので、ギャラリーをほぼ毎日眺めていくわけ。で、気に入ったら芳名帳にサインして。現在の展示は、奈良田晃治展「火のかたち」。ロール紙を切らずに、ショーウィンドーの高さいっぱいくらいで火を描いてあるんですが、青白い色調と炎のタッチが好きで毎日見ています。何で描いてあるのか、パステルだろうか…。紙の下のところをタッカーで壁面に止めてあるのだけれども、最初ちょうどの長さだったのが、徐々に紙が重みで伸びてきて今はだいぶたわんでいる。たわみに気づいた時はあれ?と思ったけど、この頃はなじんでたわみも気に入ってきた。で、ついでに脇においてあるチラシやハガキをチェック。すると、昨日はなかったハガキ発見。「Space31」の「杉本 晋一 展 いろ を さがし ながら」。2メートル以上ある大画面に鉛筆か何かで地図のような絵を描く人の写真。描きかけの絵はほぼモノクロ。しかし気になるのは描いている人の髪型。なんかおかしい。しっぽみたいに後ろだけ伸ばしてる。なんか気になる。見たい。「Space31」夜7時までやってる。行ったことないけど阪神御影駅の近くだったら会社帰りに行けるかも。そういえば横尾忠則現代美術館って金曜日は夜8時まで空いてへんかったっけ。ついでに行けるかな?ムリか?いや、こういう時は感覚に従うべき!・・・と以上のようなことを30秒程度自問自答、急遽、独りギャラリーツアー決定!!!
1305 会社の事務所で「今日はボク定時で帰りますからね~みんなも残業せんと帰りよ~」とさりげなく前振り。仕事熱心な事務員さん達を牽制。
1800 終業のチャイム、と同時に電話が鳴る。本社の部長からまさかの電話。
1810 内心は帰ることしか考えてないけど、丁重に話を伺って(たぶん話に興味ないことバレバレ)早々に電話を置く。よしよし、帰るで~。と思いきや、事務所の出口で部下がトイレが詰まったと困り顔。お、君らシュポシュポ得意やろっ、と別の同僚に無理やり振って、そそくさと離脱。
1830 阪神御影駅に着!蒸し暑い。なにせ初めてなもんで、「Space31」のハガキを左手に、右手で汗を拭き拭き、ウロウロ。焼き鳥屋の横、焼き鳥屋、焼き鳥屋…なんとかギャラリーの看板発見。マンションの一室みたいなとこ。一階とか、めっちゃ生活の匂い。
1840 3階まで階段上り「Space31」に到着!ドアは開いている。恐る恐る、失礼しまぁす。と入ると中でカフェ的に?何人かの人が歓談中の気配。展示の部屋を覗くと、あのしっぽの人がいきなり登場。「あっ、すんません、今インスタ上げてるとこで」と別の部屋に行ってしまう。気にせずに絵を拝見。絵はかなり大きいのから小さいのまであるが、いずれも着色されていた。女の子の人物像が入ってたり、予想よりかなりイラストチックか?いやいや、先入観は置いといて、じっくり眺めてみよう…程なく作家の杉本さん本人が戻ってこられて、親切にも色々話をしてくださった。「動き」を表現したいとのこと、上下左右どの向きでも見られる絵ということで、カンタンなんでと言って、わざわざタタミ一枚くらいの大きい作品を外して、グルんとかけ直してくださったり。来年9月にはBBプラザでの展覧会が予定されているとのこと。結局、絵の前は立体作品を作られていたこととか、別室の最新の白黒作品も解説していただけた。そこで展示されてたハガキ大の作品は、阪急電車の中で描かれたそう。気づいたら7時を10分程オーバー、30分程度見せて頂いたことになる。杉本さん有難うございました。
1920 阪神電車岩屋駅に到着。だいぶ薄暗くなってきた。もしかして美術館の入館受付って7時半までかもと気づき、アセる。ここから結構上り坂やんなあ。ギリギリかなあ。
1929 滑り込みセーフ。汗をダラダラ流しつつ、横尾忠則現代美術館の玄関を入る。受付の方がどうぞ2階へと案内してくれる。えっ今日、無料の日?ラッキー!!ロッカーに荷物を入れている間に、閉館30分前のアナウンスが流れる。観客は少ない。3名程度か。完全マイペースで鑑賞。2階は時系列での自画像展示。古い制作年の作品では、へーこんなん描いてはったんや。というのもありつつ、特に最近の作品中心にじっくり見る。あと15分。3階はほかの美術家を描いた作品。なんとなくこちらは目を惹かれず、10分程度みてもういいかと。
1955 はい、もうすっかり夜です。いつもだったらまだまだ残業してる時間帯ですが、今日はギャラリーと美術舘のハシゴが成功して大満足です。挑戦した甲斐がありました。

意外と長文になってしまいました、G.T.R.。ここまで読んでくださった方、有難うございます。皆さんも仕事帰りにギャラリーや美術舘に行ってみてはいかが?意外と楽しいかもしれませんよ~。

★今回の行先
 □ストリートギャラリー http://street-gallery.net/top/
 □横尾忠則現代美術館 http://www.ytmoca.jp/outline/outline.html



2018年7月8日日曜日

プラド美術館展

大雨の合間を縫って、兵庫県立美術館のプラド美術館展に行きました。

同展の目玉は7点のベラスケス作品。ここ数年、自分はベラスケスに興味があり、「鏡のヴィーナス」をコラージュの題材にしたこともあります。今回は特に筆のタッチが実際に見られるのを楽しみにしていました。

ベラスケスの肖像画は、ほぼ等身大。観客も少なめでゆっくり見ることができました。
特に気に入ったのは「マルス」。イメージで言うと、仕事帰りにサウナに立ち寄ったら偶然出会った同僚。「おぅ、お疲れ。」なんて。
実際はどうかわかりませんが、ベラスケス、人間が好きなんやなぁと思わせる。この感じ、やはり実物と向き合ってわかるものがあります。

ベラスケスの筆のタッチ、近くで見るとまぎれもなく筆跡、離れて見るときちんと絵になっているという。魔法ですね。

ベラスケスに限らず、展覧会の全体的に、そこはかとなくユーモアを感じました。陽気なラテンの血なのかなんなのか。

自分の感覚として、厳密な写実よりも、人が描いた痕跡に惹きつけられるということを、改めて認識しました。

そして、なんとなく励まされました。大丈夫、自由に描いてよし。